夜遅く、ベッドの中でスマートフォンをスクロールしているとき、ふと目に入った言葉。「私って喪女だよね」という友人の投稿、恋愛コラムに並ぶ「喪女あるある」、SNSで見かける自虐ネタの数々。
そのとき、胸の奥がきゅっと締め付けられる感覚、ありませんか。
「ああ、これ私のことかも」
そう思った瞬間、なんとも言えない寂しさと、ほんの少しの安心感が入り混じる。同じような人がいるんだという安堵と、やっぱり自分はダメなんだという諦めが、複雑に絡み合っている。
もしあなたが今、そんな気持ちを抱えているなら、今日はゆっくりとお話しさせてください。
まず最初にお伝えしたいことがあります。
「喪女」であることは、あなたの価値を決めるものではありません。
恋愛経験が少ないこと、異性と話すのが苦手なこと、自分に自信が持てないこと。それらはすべて、今のあなたの一部であって、あなたという人間のすべてではないんです。
そもそも「喪女」という言葉は、インターネットの匿名掲示板から生まれたスラングです。「モテない女」を縮めた造語で、「喪」という字には確かに暗いニュアンスが含まれています。でも、この言葉が広まった背景には、同じ悩みを抱える人たちが「自分だけじゃないんだ」と感じられる場所を求めていたということがあるんです。
つまり、この言葉は最初から、傷つけ合うためではなく、共感し合うために使われてきた面があるということ。
今では恋愛コラムやSNSでも使われるようになって、「私喪女だから」と笑いながら語る人も増えました。自虐的に聞こえるかもしれないけれど、その裏には「こんな自分でも大丈夫」と思いたい気持ちが隠れているのかもしれません。
では、一般的に「喪女」と言われる女性には、どんな特徴があるのでしょうか。少し整理してみましょう。
まず、外見に関することから。
ファッションにあまり興味がなく、同じ服を何度も着回している。流行を追いかけることに疲れてしまって、いつの間にか「定番」ばかりになっている。メイクは薄めか、ほとんどしないか、あるいは好きなものを追求しすぎて周囲から浮いてしまうこともある。髪型はいつも同じで、美容院に行くタイミングを逃しがち。
これらを読んで、「あ、私のことだ」と思った人もいるかもしれません。でもね、ちょっと待ってください。
これって、本当に「ダメなこと」なんでしょうか。
流行を追いかけないということは、自分のペースを大切にしているということ。メイクが薄いということは、素の自分を隠さないということ。同じ服を着るということは、本当に気に入ったものを長く愛用しているということ。
見方を変えれば、どれも悪いことではないんです。
次に、性格面について。
自己肯定感が低く、「どうせ私なんて」という言葉が口癖になっている。誰かに褒められても素直に受け取れず、「お世辞かな」「からかわれてるのかな」と疑ってしまう。恋愛に対しては臆病で、誰かから好意を向けられても「そんなはずない」と思い込んでしまう。
これ、実はとても苦しいことなんです。
本当は嬉しいはずの言葉を、素直に受け取れない。本当は近づきたい人がいても、自分から一歩を踏み出せない。その度に「やっぱり私はダメだ」という気持ちが強くなって、どんどん殻に閉じこもってしまう。
そんな自分を責めている人も、きっと多いと思います。
でも、考えてみてください。自己肯定感が低いことは、生まれつきの性格ではありません。これまでの経験、環境、周囲からの言葉、いろんなものが積み重なって、今のあなたを形作っているんです。だから、自分を責める必要はない。少しずつ、ゆっくりと、変えていくことだってできるんです。
ここで、私の知り合いの話をさせてください。
彼女は自他ともに認める「喪女」でした。30歳を過ぎても恋愛経験はほとんどなく、休日は一人でアニメを見たり、推しのライブに行ったりするのが何よりの楽しみ。職場の飲み会には極力参加せず、友人も片手で数えられるほど。
ある日、彼女は思い立って料理教室に通い始めました。別に出会いを求めていたわけではなく、単純に「料理ができるようになりたい」と思っただけ。
最初のうちは緊張して、誰とも話せませんでした。調理台の前で黙々と野菜を切り、出来上がった料理を一人で食べて帰る。そんな日々が続きました。
でもあるとき、隣の調理台にいた男性が「その切り方、上手ですね」と声をかけてきたんです。彼女は反射的に「いえ、全然です」と否定しました。だって、そう言われることに慣れていなかったから。
でも男性は笑顔で「いや、本当に。僕なんかいつも指を切りそうになるんですよ」と続けました。彼女は少しだけ、ほんの少しだけ、口角が上がったのを感じました。
それから二人は少しずつ話すようになり、料理教室が終わった後にお茶をするようになり、やがて付き合うことになりました。
彼女は後から振り返って、こう言っていました。「あのとき、『いえ、全然です』じゃなくて『ありがとうございます』って言えてたら、もっと早く仲良くなれてたかもしれない。でも、そんな私でも受け入れてくれる人がいたんだって、それが嬉しかった」と。
この話で伝えたいのは、「喪女」だから恋愛できないわけではないということ。そして、変わろうと無理に頑張らなくても、そのままの自分を受け入れてくれる人は存在するということです。
さて、行動面についても触れておきましょう。
趣味に没頭していて、二次元やアイドルに夢中。現実の恋愛よりも、推しの存在が心の支えになっている。人付き合いは限定的で、仲の良い友人とだけ過ごし、新しい出会いの場には行かない。何かを決めるのが苦手で、デートや遊びの計画を自分から立てることはほとんどない。
これらの特徴、実は恋愛に不向きなように見えて、長い目で見ると強みになることもあるんです。
趣味に没頭できる人は、情熱的で一途です。好きなものに対して真剣に向き合えるその姿勢は、恋愛においても活きてきます。一度好きになった人を、深く、長く、大切にできる。それって、すごく素敵なことじゃないですか。
人付き合いを限定している人は、浅い関係より深い関係を求めているということ。表面的な付き合いより、心から信頼できる相手と過ごしたい。そういう価値観を持っている人は、パートナーになったとき、とても誠実な関係を築けます。
決断力がないように見える人も、実は慎重に物事を考えているだけかもしれません。軽はずみな行動をしないということは、相手を傷つけにくいということでもあります。
つまり、「喪女」の特徴とされているものの多くは、見方を変えれば魅力に変わるんです。
ただ、恋愛においていくつか気をつけたいポイントもあります。
ひとつは、相手の好意を疑いすぎてしまうこと。
誰かがあなたに好意を持ってくれたとき、「そんなはずない」「何か裏があるんじゃないか」と思ってしまう気持ち、よくわかります。これまで良い経験がなかったり、自分に自信がなかったりすると、どうしてもそう考えてしまいますよね。
でも、その疑いが相手に伝わってしまうと、せっかくの関係が進展しにくくなることがあります。相手は「自分の気持ちを信じてもらえない」と感じて、だんだん距離を置くようになるかもしれません。
もちろん、すぐに信じろとは言いません。時間をかけて、ゆっくりと信頼関係を築いていけばいい。ただ、最初から「絶対に嘘だ」と決めつけるのではなく、「もしかしたら本当かもしれない」という可能性を、ほんの少しだけ心の片隅に置いておいてほしいんです。
もうひとつは、傷つくのを恐れて距離を置いてしまうこと。
恋愛には、傷つくリスクがつきものです。好きな人に振り向いてもらえないかもしれない。付き合っても別れることになるかもしれない。そう考えると、最初から何も始めないほうが安全だと思えてしまう。
その気持ちは、自分を守ろうとする自然な反応です。決して悪いことではありません。でも、傷つくことを完全に避けようとすると、幸せになるチャンスも同時に逃してしまいます。
大切なのは、傷つくことを恐れないことではなく、傷ついても立ち直れる自分を信じること。あなたは思っているよりずっと強いし、支えてくれる人もきっといます。
そして、恋愛経験が少ないことで、コミュニケーションがぎこちなくなることもあるかもしれません。
デートで何を話せばいいかわからない。相手のリアクションをどう受け取ればいいかわからない。手をつなぐタイミングなんて、もっとわからない。
でもね、これは経験を積めば自然と慣れていくものです。最初から完璧にできる人なんていません。むしろ、不器用でも一生懸命な姿は、相手の心に響くことだってあります。
ある女性の話をしましょう。
彼女は自分のことを「コミュ障」だと思っていました。初めてのデートで、緊張のあまりほとんど話せなかった。相手の男性が話題を振ってくれても、「はい」「そうですね」としか返せない。帰り道、彼女は「もう二度と会ってもらえないだろうな」と落ち込みました。
でも数日後、男性から連絡がありました。「この前は楽しかったです。また会えませんか」と。
彼女は驚きました。あんなにぎこちないデートだったのに、なぜ。思い切って理由を聞いてみると、男性はこう答えました。「緊張してるのが伝わってきて、それがなんだか可愛かったんです。それに、ちゃんと僕の話を聞いてくれてるのがわかって、嬉しかったです」と。
上手に話せなくても、相手の話を真剣に聞くことはできます。気の利いた返しができなくても、誠実に向き合うことはできます。それだけで、十分なんです。
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